Tasting Sake - テイスティングとは

1.テイスティングの意味
 
テイスティングというと非常に敷居の高い、難しいもののように思えます。原材料の品種を当てたり、地域を当てたり、銘柄を当てたり。しかし、テイスティングの本来の目的はそのお酒の本質を見極めることです。
 
そのお酒がどんな香りを持っていて、どんな味わいを持っていて、どんな個性を持っているか。そしてどんな飲み方をして、どんな料理と合わせればおいしく味わえるのか。そこを判断するための「テイスティング」です。
 
造り手の行う、いわゆる「唎き酒」はマイナスの要素を探し出していく、いわば"減点法"のテイスティングです。商品の製造という観点から考えると、より広く受け入れられる酒質を目指すためには"減点法"で行われるのが自然です。
 
また日本酒には年に一度、全国のお酒の品質を見極める鑑評会というものがあります。全国の日本酒の造り手がこの鑑評会で金賞を獲ることを目指し、 金賞を獲ることができれば一流の酒造技術を持つことの証しとなります。鑑評会では製造技術の判断基準として求められる"酒質"というものがあります。全国の造り手は、これに近づけていくことが醸造のベースにあるため、減点法で行われている側面もあります。
 
 
しかし飲み手としてのテイスティングとしては、お酒の劣化、健全度を見極め、排除する。そこさえクリアしてしまえば、後はそのお酒をどう美味しく飲むか、そのためのテイスティングであるべきです。その為には"減点法"よりも"加点法"。そのお酒の個性を見極め、長所を伸ばし、短所を抑える飲み方ができるように判断していくことが重要だと思われます。

 

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