酒造好適米

日本酒造りには食用米とはまた違う品種である、酒造好適米が用いられることが多い。代表的な品種には山田錦、五百万石などがある。酒造好適米として求められる条件は以下である。

  • 大粒であること
  • 心白があること
  • タンパク質、脂肪が少ないこと
  • 吸水率がいいこと
  • 外硬内軟性に富むこと

心白とは米の中心部分のことである。米は周縁部にタンパク質や脂肪などを多く含み、心白ほど”でんぷん”の比率が高い。タンパク質や脂肪はお酒にするときに雑味となって出てくるので、周縁部は精米によって削り取り心白の部分のみを酒造りに用いることが多い。この為高精米に適するよう、大粒であることも適正となる。

酒造好適米は日本酒造りにおいては優秀であるが、大粒であること、背丈が高いことから倒伏しやすく、米作りにおいては食用米よりも難しさがある。このこともあり酒造好適米は食用米よりも値段が随分と高く、日本酒が特に原材料費の高い酒類であるとされる一因である。

酒造りと水

酒造りに使われる水は、実際に仕込み等に使われる醸造用水の他にも、器具の洗浄や割水、加水など大量に必要とされ、使うお米の50倍量ほど必要ともいわれる。原材料の中でも水は他の土地から調達することが非常に困難であり、水が美味しいところはお酒が美味しいと言われるのはこの為である。

水は硬水になるほどカリウムやマグネシウムなどのミネラルを多く含み、軟水ほど含んでいる量が少ない。これらのミネラルは麹や酵母の働きの助けとなるため、含有量が多いほど発酵が進み濃醇なお酒となりやすい。

種麹と米麹

酒造りに欠かせない微生物の働きの一つが麹菌の働きである。麹菌とはカビの一種である。この菌が蒸した米に付着して増殖することによって、米のデンプンを分解して酵母がアルコール発酵を行うことができる状態にすることができる。

麹菌が培養された種麹が市販されており、この種麹を蒸した米の上で振ること(種きりと呼ばれる)で麹菌をまんべんなく蒸米に行き渡らせる。