◆ 保管の条件

①    日光(紫外線)

日本酒は紫外線が大敵で、太陽光が直接当たらないようにされているか、紫外線カットの対策を取られていることが条件となる。以前は新聞紙に包んで出荷されたりしていたが、これも紫外線カットの為でもあった。

②    高温、温度変化

品質保持の為には冷蔵庫保存が一番である。品質の保持に最適な5°以下で、なるべく温度変化の少ない状況を実現できるからである。先述の新聞紙には温度変化を少なくするという側面もあった。

◆ 劣化とは

1)色(着色)

劣化すると黄褐色に着色する。この変化は比較的短時間で起こる。日光下ではもちろん、同じく紫外線を含む蛍光灯下にての保存でも同様に着色する。

2)味(雑味の増加)

劣化に伴い味わいは雑味が増え、バランスが崩れ、くどくなる。

3)香り(異臭の発生)

たくあん漬けの様な香りや、タマネギの様な香り出てくる。老香や日光臭と呼ばれるもので、代表的な劣化臭である。

また好ましいとされない条件下でも上記の通りの劣化ではなく、むしろ飲み口が良くなるケースもある。こう言った場合は劣化ではなく、「熟成」ということが出来る。

◆ 保管のPoint

  • 日陰で      ⇒ 日光、蛍光灯の紫外線の当たらない環境で。
  • 冷蔵庫の奥の方等 ⇒ 高温を避けて、温度変化の少ない環境で。
  • 瓶を立てて    ⇒ 酸素と触れる面積を少なく。

Pick Up!!

日本酒の消費期限

ワインには100年を超える年代物もあったりして、熟成という価値観が根付いている。一方同じ醸造酒である日本酒においても、やはり熟成という概念がある。

では熟成と、老ね(ひね)と呼ばれる劣化とはどう違うのか?

簡単に言うと美味しい変化を熟成と呼び、美味しくない変化を老ねと呼ぶ。

商品として日本酒に消費期限は無いと言えるが、味わいの面では別である。

熟成の化学変化

長期熟成によって生成される熟成香の香気成分は、ソトロンやフルフラールと言ったカルボニル化合物である。カラメル様の香りや、紹興酒のような香りがする。

一方半年から2年の熟成で生成されてくる、老ね香に関与しているのは有機硫黄化合物(ジメチルトリスルフィドやジメチルジスルフィドなど)であり、硫黄のような匂いがする。

前者をバランス良く、後者をなるべく発生させないような環境が、優れた熟成環境と言える。