① 日光(紫外線)
日本酒は紫外線が大敵で、太陽光が直接当たらないようにされているか、紫外線カットの対策を取られていることが条件となる。以前は新聞紙に包んで出荷されたりしていたが、これも紫外線カットの為でもあった。
② 高温、温度変化
品質保持の為には冷蔵庫保存が一番である。品質の保持に最適な5°以下で、なるべく温度変化の少ない状況を実現できるからである。先述の新聞紙には温度変化を少なくするという側面もあった。
1)色(着色)
劣化すると黄褐色に着色する。この変化は比較的短時間で起こる。日光下ではもちろん、同じく紫外線を含む蛍光灯下にての保存でも同様に着色する。
2)味(雑味の増加)
劣化に伴い味わいは雑味が増え、バランスが崩れ、くどくなる。
3)香り(異臭の発生)
たくあん漬けの様な香りや、タマネギの様な香り出てくる。老香や日光臭と呼ばれるもので、代表的な劣化臭である。
また好ましいとされない条件下でも上記の通りの劣化ではなく、むしろ飲み口が良くなるケースもある。こう言った場合は劣化ではなく、「熟成」ということが出来る。
ワインには100年を超える年代物もあったりして、熟成という価値観が根付いている。一方同じ醸造酒である日本酒においても、やはり熟成という概念がある。
では熟成と、老ね(ひね)と呼ばれる劣化とはどう違うのか?
簡単に言うと美味しい変化を熟成と呼び、美味しくない変化を老ねと呼ぶ。
商品として日本酒に消費期限は無いと言えるが、味わいの面では別である。
長期熟成によって生成される熟成香の香気成分は、ソトロンやフルフラールと言ったカルボニル化合物である。カラメル様の香りや、紹興酒のような香りがする。
一方半年から2年の熟成で生成されてくる、老ね香に関与しているのは有機硫黄化合物(ジメチルトリスルフィドやジメチルジスルフィドなど)であり、硫黄のような匂いがする。
前者をバランス良く、後者をなるべく発生させないような環境が、優れた熟成環境と言える。