この段階ではお酒の中の酵母は生きており、この状態のまま非加熱で出荷したものが「生酒」です。しかし生酒は酵母が生きていることから出荷後の品質の変化が起こりやすいという特徴があります。特に常温で保存すると劣化も早く、品質の安定の面から酵母を失活させる「火入れ」が行われます。
「火入れ」は江戸時代以前から日本酒造りにおいて行われている工程で、かつてはお酒の防腐を主目的として行われていました。工程としてはお酒を65℃~70℃前後まで暖めることで酵母の失活と殺菌を行っています。瓶詰めする前のお酒をお湯の中を通る金属管(蛇管など)に通して温度を上げる方法と、瓶詰めしたお酒を瓶ごとお湯に通して温度を上げる方法とがあります。それぞれの方法で、65℃まで至るまでの温度経過、かかる時間、または65℃まで上がった後の温度を下げるプロセスが異なり、それによって出てくるお酒の味わいも異なってきます。お酒を商品化する最終段階であるからこそ、品質に与える影響も大きく、味わいを左右するポイントとなっています。
またこの火入れの作業を行う回数、タイミングの違いによって以下の4タイプに分類されています。